骨が衰えると顔のしわも増える
年齢が30歳前後を迎えたころから、鏡に映った自分の姿勢がずいぶん悪くなった、猫背や腰の湾曲がひどくなってきた 。
そんなふうに感じている人はとても多いのではないでしょうか。
掃除や洗濯、食器洗いをしたさいに腰が痛くなったり、背中の痛みや肩こりがひどくなったりする人もおおぜいいるでしょう。これは、全身を支えている背骨が衰えた証拠です。
私がそのような説明をすると、多くの人は「そうですか。つまりは老化ですね。それならしかたありませんね」 と合点がいったような表情を見せます。
しかし、ちょっと待ってください!
背骨の衰えによる腰曲がりやネコ背は決して軽視してはいけない、危険な状態です。
腰痛や背中の痛みはいわば序曲のようなもの。
実は、私たちの目に見えないところで、老化を早めて病気を招く原因となるのです。
まずは背骨の構造について解説しましょう。
背骨は、みなさんもご存じのように首から骨盤の上まで続いている、わたしたち人間の体を支える大黒柱ですが、 「一本の長い骨」というわけではありません。
椎骨と呼ばれる側の小さな骨が積み重なってできており、椎骨と椎骨の間には、背骨にかかる衝撃を和らげるクッションの役をする軟骨の椎間板があります。
背骨は3カ所に分かれており、首の部分は頸椎、背中の部分は背骨は、みなさんもご存じのように首から骨盤の上まで続いている、わたしたち人間の体を支える大黒柱ですが、 「一本の長い骨」というわけではありません。
椎骨と呼ばれる側の小さな骨が積み重なってできており、根骨と種骨の間には、背骨にかかる衝撃を和らげるクッションの役をする軟骨の椎間板があります。
背骨は3カ所に分かれており、背中の部分は胸椎、腰の部分は腰椎と呼ばれます。
私たちは、姿勢の悪い状態を続けていると椎骨と椎間板に負担がかかって変形し、どうしても前に曲がってきます。
ときには、もろくなった椎骨がつぶれる圧迫骨折を招くこともあります。
すると、ますます腰曲がりは進み、身長は縮みます。
問題は、こうした腰曲がりや猫背が腰痛や背中の激痛を招く病気の原因になる点です。
椎骨には、椎孔という穴があり、椎骨が積み重なることによって、脊柱管と呼ばれるトンネル状の空洞を作っています。この空洞の中には脊髄という神経の束が通り、枝分かれした神経が体じゅうに伸びています。
腰曲がりや猫背で背骨が変形すると、脊柱管が狭くなる場合があります。
すると、 中を通る神経が圧迫されるため脊柱管狭窄症を招きます。
また、腰曲がりなどの姿勢によって、椎骨が前方あるいは後方にずれると、変性すべり症を引き起こします。
さらに、椎間板の中にある髄核という軟らかい部分が後方に飛び出ると椎間板ヘルニアが起こります。
脊柱管狭窄症や変性すべり症、椎間板ヘルニアになると、 脊髄から枝分かれする神経の根元が圧迫されて、腰や背中の激痛ばかりか、 足の痛みやしびれも招き、長く歩けなくなる人も大勢います
腰曲がりや猫背の放置は、実に危険です。
現在、脊柱管狭窄症や変性すべり症、椎間板ヘルニアの人も、腰曲がりや猫背が原因になっている可能性があります
腰曲かりや猫背が招く不調はまだあります。
背中が丸くなると、肺が圧迫されるため、呼吸が浅くなるなで心肺機能の衰えが進みます。すると、少し歩いただけでも息が上がるようになります。
呼吸が浅くなれば、酸素の取り込みが悪くなって全身の細胞が酸素不足に陥って疲れやすくもなります。
また、肺だけではなく胃や腸といった内臓も圧迫されるため、消化機能が正常に働かなくなって、食後の胃痛や胃もたれを感じやすくなります。
腰曲がりや猫背によって便秘を悪化させてしまう人も少なくありません。
さらには、猫背や骨量の低下がある人は、逆流性食道炎を招きやすくなるともいわれます。
猫背や腰曲がりで、内臓が圧迫されることは前に述べましたが、その結果、内臓が下垂します。それによって、 下腹がぽっこりとしてせり出ます。
これにより重心の位置が体の前側によって、膝に負担がかかって膝痛などもまねきやすくなります。
こうした体の不調は精神面にも影響を与え、気分が晴れない、何もやる気が起こるないといった状態に陥る人も少なくありません
また、腰曲がりや猫背は、骨の衰えが進んだ状態です。骨の衰えは腰曲がりや猫背を招くばかりか、実は顔の老けも早めるとわかってきました
骨が老化すると、顔面骨が衰え、眼窩が広がります。すると、眼はくぼんでたるみ、目尻には小ジワが増え、ほうれい線が目立ってくると考えられます。
腰曲がりや猫背のある人は、おそらくは顔も老化しやすいと考えられます。